バランスを考えて、カロリーを食品群に振り分け

ここでは、だれでも導入しやすい方法を説明します。最初から完璧にやりたい人は、医師や栄養士の指示に従うか、食品交換表を買って実践するのもいいでしょう。(食品交換表とは)

1.最初に

ここで示す方法は、完璧な方法ではありませんが、一般の会社勤めの人にとって、導入しやすい、ということに重きをおいています。
例えば、「油脂、多脂性食品(植物油、マヨネーズ、ドレッシング、バター、ピーナツ等)の摂取を1日あたり、160Calにしましょう。」と言っても、自分ですべて調理しない限り無理な話です。ここでは、現実に可能なカロリー計算をしながら食事をするための、私なりの方法を書きます。

2.カロリーの単位について

80Calというのを1単位とします。80Calを1単位とする方法は、その筋(?)では、実は、有名な方法です。
例えば、卵なら1個、食パンなら6枚切り半分、ご飯なら、茶碗に軽く半分、植物油やマヨネーズなら、大さじ1杯、、、というのが80Calであり、1単位です。

3.食品群について

食品の組成ごとに、食品群を7つに分けます。

食品群 説明 食品例と、1単位(80Cal)の量
表1.穀類、いもなど 炭水化物が9割含まれている食品で、多糖類がメインのもの ご飯(55g)、パン(6枚切り半分)、ジャガイモ(100g)、かぼちゃ(110g)
表2.くだもの 炭水化物のうち、果糖がメインのもの。ビタミン類の補給にも役立つもの バナナ(1本)、みかん(3個)
表3.肉、魚介、卵、大豆製品 たんぱく質を多く含むもの。脂肪も含む。 豚肉(肩、もも)(60g)、鶏肉(ささみ)(80g)、卵(1個)、さけ(40g)、木綿とうふ(100g)、納豆(40g)、チーズ(20g〜25g)
表4.牛乳と乳製品 牛乳と乳製品(ただし、チーズは表3。コーヒーに入れるフレッシュは表5)。カルシウムの補給源 牛乳(140cc)
表5.油脂、多脂性食品 脂肪が組成のほとんどを占めるもの 植物油(大さじ軽く1杯)、マヨネーズ(大さじ1杯)、バター(大さじ1杯)、ベーコン(20g)、ピーナッツ(15個)、豚ばら肉(20g)、ポテトチップ(15g)
表6.野菜 ビタミン、ミネラル、食物繊維の補給源 野菜(かぼちゃ、ジャガイモなどは表1)、こんにゃく、海草、全部あわせて300gで1単位
調味料 調味料のうちカロリーを無視できないもの 味噌(40g)ケチャップ(60g)、カレールー(15g,、1人分で、約1.2単位))
嗜好食品 糖類が多く、ビタミン類の補給にも役立たないので、本来たべないほうがいいもの アルコール、清涼飲料水、お菓子類、干し果物、ジャム

上記の食品群ごとに、摂取するカロリーが決まります(後述)。例えば、表1の食品群から、1食あたり、4単位(320Cal)を摂取する場合は、ご飯なら、220g、食パンなら、6枚切りを2枚という具合です。例えば、ジャガイモを100g(80Cal)食べる場合は、ご飯を55g減らします。

4.指示カロリーに応じて、食品群を振り分ける。

指示カロリーを、上記の食品群、及び、3食+間食に分配してゆきます。
以下、ちょっと理想的な分配例です。

指示カロリー1200Calの場合
表1 表2 表3 表4 表5 表6 調味料
1日あたり 6 1 4 1.4 1 1 0.6
朝食 2 1 1 0.3 0.6
昼食 2 1 0.3
夕食 2 2 0.4
間食 1 1.4
指示カロリー1400Calの場合
表1 表2 表3 表4 表5 表6 調味料
1日あたり 9 1 4 1.4 1 1 0.6
朝食 3 1 1 0.3 0.6
昼食 3 1 0.3
夕食 3 2 0.4
間食 1 1.4
指示カロリー1600Calの場合
表1 表2 表3 表4 表5 表6 調味料
1日あたり 11 1 4 1.4 1 1 0.6
朝食 3 1 1 0.3 0.6
昼食 4 1 0.3
夕食 4 2 0.4
間食 1 1.4
指示カロリー1800Calの場合
表1 表2 表3 表4 表5 表6 調味料
1日あたり 12 1 5 1.4 2 1 0.6
朝食 4 1 2 0.3 0.6
昼食 4 2 0.3
夕食 4 2 0.4
間食 1 1.4

表5と、調味料は、料理に応じて適当に振り分けます。

さて、以上の指示のもとに、3食自分で調理する場合は、なんとかなるのですが、そうもいかないのが現実です。以下、ちょっと手を抜きながら、現実的にできる方法を書いていきます。

5.食品群別の対応方法

表1(穀類、いも類)について

計量し、目分量を鍛えることが必須

ご飯については、1食分(1800Calコースの人は4単位なので220g)を、最初のうちは、はかりで計量することを最低限実行してください。そのうち、目分量が鍛えられ、はからなくてもピタリと、適量をよそうことができるようになります。
パンについては、簡単ですね。(1800Calコースの人は4単位なので6枚切りを2枚)

じゃがいもや、かぼちゃを食べるときは

その分、ご飯をへらしてください。例えば、ジャガイモを100g食べるときは、ご飯は1単位減らします。ジャガイモの1単位の量(100g)の目分量も鍛えましょう。

表2(果物類)について

どのコースの人も間食で1単位(80Cal)となっています。間食にバナナなら1本、みかんなら3個を食べるという具合に決めるのがよいと思います。まあ、無理して間食を食べる必要もありませんが、昼食が12時、夕食が20時、となるような場合は、会社帰りの自転車通勤に力がでませんし、空腹で運動するのは、太りやすい体質をつくってしまいますので、間食を食べたほうがいいと思います。

表3(肉、魚介、大豆)について

表3の摂取量が、もっとも気をつかうべきところです。
納豆や豆腐は、1単位の量を覚えるのは、簡単ですね。問題は肉と魚、それからチーズ

自分がよく食べる食品の1単位の量を覚える。

まず自分がよく食べるものの1単位の量の目分量を鍛えることをお勧めします。
例えば、私の場合、は、牛ロースや、豚ロース40g、さけ40g、あじ60gの目分量をまず覚えました。

対極にある2種類の食品の、1単位の目分量を覚える。

例えば、油分の多い魚である、さけの40gの目分量をおぼえたら、次は油分の少ない魚である、たいの80gの目分量を覚えます。
そうすることによって、他の魚も1単位の量がだいたいわかるようになってきます。
肉類も同様。和牛ロースの30gの量を覚えたら、牛ひれ肉の60gの目分量を覚えます。

チーズについて

チーズは高カロリーです。1単位の量が20gから25gです。
チーズ単体で食べる場合は、その目分量を覚えればいいのですが(その結果、あまり食べてはいけない、ということにはなりますけど)、、、料理に紛れ込んでいる場合は量がわからないので、困りますね。やはり、ダイエット中は、和食中心にするのが、解決策かと思います。

食料品のウィンドウショッピングの薦め

お肉、お魚、については、スーパーマーケット等で、重量表示をみて、感覚をつかむ、というものお奨めです。
ただ、ウィンドウショッピングに徹する、、、というのがつらい人は、どうするのかな?

肉、魚、大豆を平等に

肉ばかりとか、魚ばかり、というのはよくないと思います。肉、魚、大豆の3種類のたんぱく質補給源を平等に摂取しましょう。
気が付いたら、という程度でかまわないと思います。例えば、昼食は肉だったから、夕食は魚にしようとか、いう程度でかまわないと思います。

表4(乳製品)について

これは簡単。一日あたり牛乳を200CC飲めば、1.4単位になります。これも表2(果物類)と同じように間食で飲むのがいいと思います。
あとは、料理で乳製品を使う場合は、その日は牛乳はのまないとか、低脂肪乳にするとか、工夫すれば完璧。

表5(油脂類)について

これは、量はすくなくても、高カロリーなので、重要です。
また、自分で調理しない人は、なかなか調整がむずかしいところです。
私は以下のように割り切っています。

無理して摂取するぐらいなら、摂取しない。

脂肪は、表3や表4の食品群からも摂取できますので、あえて摂取しなくてもよいと思います。例えば、脂肪分の多い魚であるさけをたべた場合は、さけを1単位増やして、表5の食品群を1単位減らす、ということにしてもいいはずです。

揚げ物は厳禁

揚げ物は、衣に、かなりの油を吸い込んでいます。餃子も同様。野菜のてんぷらなんかも吸い込んでますね。あと、コロッケなんかは、特にひどいですね。これらは食べない、と決めたほうがいいです。チャーハンもやめる。

野菜炒め

野菜炒めは、油を結構吸い込みますが、カロチンの吸収のためには、にんじんを油で炒めて食べる、というのは、結構重要だそうです。テフロン加工のフライパンで、油を少なめにすると、よいそうなのですが、私は調理できる環境ではないので、なんともいえません。
あと、行きつけの飯屋等で、嫌われてもいいから、「この野菜炒めは、植物油をどの程度つかってるんですか。」と質問することにしています。大さじ1杯(=1単位強)といわれたら、その味、脂っこさを感覚的に覚えてゆきます。

ドレッシングはノンオイル

これは結構効きます。最近のノンオイルのドレッシングは、カロリーとしては無視できるレベルで、いろいろと種類もあり、自分の好みにあうのが必ず見つかると思います。

表6(野菜類)について

これは、いろいろ取り合わせて、一日、300gで1単位です。多少食べ過ぎても大丈夫だし、多めに食べることを意識するだけでいいと思います。なお、こんにゃく、きのこ、海草類は、カロリーはほぼ0なので、いくら食べてもかまいません。

調味料について

ダイエット、という観点だけから気をつけるべきことを言うと、

カレーはかなり高カロリー

カレールーは、1人前で、1.2単位と、かなり高カロリーです。脂肪もたっぷり含まれています。
いっそのこと、食べないのがいいです。どうしても食べたい場合は、カレールーを使わず、自分で本格的なカレーを作って、カレー粉を作る時の油も計量して、、、というのはどうでしょうか(私はやりませんが、、、)。

味噌汁はほどほどに

味噌汁1杯だけで、一日に摂取してもよい調味料の半分になります。塩分も多いし、、、

人の料理は味付けに注意

この肉じゃがは、いつも食べるのより甘い、とか、この料理は隠し味に蜂蜜をいれてるな、とか、いろいろと疑いだすときりがありません。
自分にあう、標準的な味付けで、どの程度砂糖をつかっているかを把握しておくことは重要だと思います。私の場合は、ごく質素な味付けの、定食が好みなので、あまり問題にはならないです。
このことは調味料だけにあてはまらないですね。やはり、ダイエットしている最中は、見ただけで食品群のバランスがわかる、和食系がお勧めです。

嗜好食品について

食べない、というのが理想ですが、どうしても食べたい場合は2単位(160Cal)に抑え、その分を、組成が近い食品群から減らします。(普通のお菓子とかアルコールの場合は、表1から2単位減らしたり、アーモンド入りのチョコレートの場合は表1から1単位、表5から1単位減らす、、、というように工夫します。

6.3食+間食への振り分け方

既に理想的な分配例を書きました。基本的には、表2と表4を間食に、表1、表3、表6は、3食平等に、表5、調味料は、1日のうちで、料理に応じて、、、というものです。
しかし人によっては、夜にたくさん食べたい、とか、朝は軽めに、、ということもあるかもしれません。
ここは、なかなか難しいところですが、糖尿病等で、医師から指示を受けていない人の場合は、多少偏ってもかまわないと思います。
ただ、ダイエットの効果を高めるには、
 朝はしっかり食べ、夜は控えめに。
 寝る2〜3時間前になると一切なにも食べない。
というほうが、よいとは思います。

7.最後に重要なことを再び念押ししときます。

一ヶ月に3kgの減量が限界だとおもってください。それ以上の減量は、単に太りやすい体質を作るだけ、、、だと思います。(医師の指示がある場合を除く。)
一ヶ月に3kg以上減ってしまうような場合は、以下の可能性を疑ってみて、軌道修正することをお勧めします。
(1)カロリー計算が間違っていないか。
(2)実は病気ではないか。
(3)運動量や、労働強度が間違っていないか。
自分の性格も考慮に入れてみてください。例えば、自分は、悲観的でしょうか。それとも楽観的でしょうか。また、頑張りすぎるところはないでしょうか。
悲観的な人が、頑張りすぎた場合、指示カロリーを摂取しているつもりでも、知らず知らずのうちに下回っていたり、運動しすぎ、、ということも考えられます。


参考文献:「糖尿病食事療法のための食品交換表 分光堂」
本格的にダイエットをする場合は参考になります。現在の糖尿病の食事療法は、健康な人にそのまま当てはめても大丈夫なものだからです。自分で調理するような場合は、1ヶ月ぐらい、この本にかいてあることを忠実に実践してみることは、お勧めできます。