20012年1月28日、3年放置後の放電実験結果追加、を追加
買っちゃいました。eneloop-R。
eneloopは、自己放電が少なく、不活性化もそれほど問題にならないという、素晴らしく使いやすい電池です。
パッケージにも、「充電しておけば、1年後でもすぐ使える。」なんて、従来のニッケル水素電池の常識を覆すものです。ま、既に発売されてから長いので、みんな知ってるか。
で、eneloop-Rとは、気の迷いさんが、勝手に(失礼)命名したeneloopのマイナーチェンジモデルで、
気の迷いさんが詳しく解析されてます。
こんな感じで、Pの下にRと書いてあることで、旧eneloopと区別できます。
で、私も、せっかく、パソコン制御ニッケル水素電池銃充放電器を作ったので、実験をしてみたいと思います。
価格ですが、8本で1575円でした。安い!秋葉原で2番目に安い、とかいう店です。
本来は、発売直後に購入して、テストする、というのが、旬なのでしょうが、なにせ貧乏性なので、これぐらい値段が下がらないと、私には手がでませんです。
なお、ということなので、2ヶ月前に製造されたものです。
実験内容としては、
1.製造後2ヶ月の間にどれぐらい、電池は、自己放電して、不活性化しているのか。
2.旧タイプのeneloopとの特性の違いはあるのか。
3.他の電池との特性の違いは?
以上、なんか、気の迷いさんの、2番煎じになってしまいます。でもまあ、それはそれ、張り切っていきましょう。(意味不明)
一応、私なりのテーマもあります。
4.電池の不活性化による、充電時の挙動に違いはあるのか。
では、今度こそ、張り切っていきましょう(笑)
目次:
1.購入後、3回充放電をしてみました。
2.旧タイプのeneloopとの比較
3.Better Power Batteryとの比較
4.自己放電特性
5.まとめ
実験の条件:
1.開封直後から、「放電→30分休憩→充電→30分休憩」 を3回繰り返しています。
2.放電条件: おおよそ500mAの、おおよそ定電流放電
1Vを下回ると、放電を停止しています。
3.充電条件: おおよそ2400mAの、まあまあ正確な定電流放電、1秒充電3秒休止の繰り返し
−ΔV検出よりちょっと前に充電は寸止め。(後述:寸止め充電ってどうよ参照)
おおよそ、っていうのが、どれぐらいおおよそなのかは、話が複雑なので、
1.定電流充放電特性と充放電電流測定値
をご覧ください。
グラフの見方:
凡例:
slot1電圧 slot2電圧 slot3電圧 slot4電圧
slot1温度 slot2温度 slot3温度 slot4温度
slot1電流 slot2電流 slot3電流 slot4電流
つまり、同系統の色は同じスロット。明るいのが電圧、暗いのが温度と充放電電流です。 あと、測定はすべて1秒置きにプロットしており、例えば、1秒/4秒というのは、 1秒充電して、3秒休止、という意味です。なので、充電中の電圧を1回と休止中の電圧3回がグラフに表示されており、充電グラフの休止中のほうは、線が太く見えます。(拡大すれば、3本の線が見えます。)
先ほども書きましたが、、ということなので、製造後2ヶ月経過しています。したがって、2ヶ月間の自然放電ということなのでしょうか。 開封直後は、だいたい、1700mA程度しか放電できていません。 これが、3回目になると、1800mAを超えています。 製造時に1900mAh充電されていたとするとだいたお、90%の容量になってしまったということになります。 (公称容量と、測定誤差、という意味では深い話になるので、こちらの、寸止め充電と充電効率に議論は移しますが、そこでの結論からいうとと、本充放電器で、今の季節で測定した電池の容量が、だいたい1900mAhなので、それに対する割合が90%ということです。) あと、2ヶ月ぐらいの放置では、1回の放電で、容量、維持電圧ともに、回復するようですね。 |
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停止画像拡大:開封初回放電、2回目放電 3回目放電 |
ほぼ、誤差の範囲で、すべて同じようなグラフになっています。 #(強いて言うなら、一回目の充電については、「自己放電2ヶ月+1回目の放電」に対して充電することになっているので、若干(20mAh程度)多く充電させられていますが、ま、大した話ではないでしょう。) さきほどの放電グラフからも言えたことですが、2ヶ月ぐらいの放置では、1回の放充電をすると、完全に回復すると思ったほうがいいようです。 |
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停止画像拡大:開封初回充電、2回目充電 3回目充電 |
旧eneloopはデジカメに入れっぱなしなので、充放電を繰り返して、3回目の放電、充電、グラフと、
eneloop-Rのグラフを比べてみました。まずは放電グラフ
自転車ライトで、通常使っている、Better Power Battery 2500mAhと、eneloop-R1のぱらぱら漫画です。
ちなみに、このBetter Power Battery 2500mAhは、自転車ライトとして、不活性化させてないはずなんですが、2回ほど、充放電を繰り返して、条件をそろえてみました。ただ、特性は、それでも安定しません。
#2回充放電しただけで、性能が安定しないのは、それだけで、性能があまりよくない電池だという気もしますが。
今度は充電グラフを比較してみました。
これも、容量が大きいので右に伸びてますが、 一番目立つのは、slot3(青)の電池の充電時の電圧が高いことです。 ぜったい、電解液が不足してると思うんだがなあ。 で、このslot3(青)は論外としても、やはり、電池ごとのバラつきがありますね。 あと、休止中電圧が、eneloopより低い、というのは、放電の特性と同じ傾向ですね。 |
満充電直後(厳密には、30分経過後)、
満充電1週間経過後、
満充電4週間経過後、
満充電3ヶ月経過後、
満充電1年経過後、
満充電3年経過後、
での、放電データを取ってみました。
(なお、満充電と書いてますが、寸止め充電しているので、96%程度しか充電されていません。)
グラフから、1週間、4週間、3ヶ月と経過しても、 残電流量があまり減っていないこと、 維持電圧が高いこと、また、1.2Vの維持時間が長いこと、 が見て取れると思います。 残電流量については、表に細かい数値を書きましたが、1週間経過後93.5%、4週間経過後91.6%、3ヶ月経過後91.1%と、自己放電が少ないことが解ります。 なお、sanyoのサイトによれば、半年で90%とありますが(*)、まあまあの数値かと思います。 これで、デジカメ等で、放電終止電圧が高く設定されている機器でも、1ヶ月どころか3ヶ月は全然問題なく入れっぱなしにして、自己放電に気づくことはないレベルだと思います。 もちろん、この実験では、デジカメ等で、一瞬急速で大電流を要求する場合の性能を測定したものではありませんが、ま、問題ないように思います。 (*)sanyoのサイトでは、740mAによる放電なので、条件が違います。また、sanyoのサイトでは、90%のパワーをキープ、とあります。これは、何を表してるのか、不明です。sanyoさん、、、ちゃんとしてよー。せっかくすごい電池出して、キャッチコピーもちゃんと作って、販路も開拓して、頑張ってるのに、こんなことで、ケチつけてもしゃあないと思うんですけどねえー |
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拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後 1年放置後 3年放置後 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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旧eneloopと比較してみました。
eneloop-R(再掲) | 旧eneloop | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後 3ヶ月放置後 1年放置後 3年放置後 | 拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後 3ヶ月放置後 1年放置後 3年放置後 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
残電流量比較:
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残電流量比較:
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さて、どうでしょうか。eneloop-Rのほうが、若干性能がいいです。
特に、維持電圧、電池間のバラツキ、について、4週間放置後から、若干差が出てきて、3ヶ月放置後、一年放置後では目に見える差になってきています。
ただ、旧eneloopが購入後2年近く経過していることが理由なのか、ロット差なのか、、、いずれにせよ、この実験だけでは、性能に差がある、とはいえないです。
残電流量について、グラフにしてみた。
点線が、eneloop-R、実線が、旧eneloopですが、 最初の一週間に、100mAhほど、放電して、あとは、ゆっくり放電する、という感じですね。 4週間後と、3ヶ月後、1ヶ月後と1年後とでは、グラフの傾きが逆転していますが、これは、1ヶ月放置が8月下旬〜9月下旬、3ヶ月放置が9月下旬〜12月下旬、1年放置が12月下旬〜12月下旬、ということで、若干温度の条件がちがいます。 いずれにせよ、最初の1〜3ヶ月で自己放電は落ち着いて、その後は、あまり自己放電しない、と言う感じかと思います。 グラフで見ると、eneloop-Rのほうが性能が若干いいように見えますが、これは、固体差より若干差がでている程度で、旧eneloopが、製造後時間が経過していることを考えるとeneloop-Rと、旧eneloopの差としては有意な差は認められなかった、というのが正しいのかな。 |
今度は、eneloop-Rを、bp2500と、比較してみました。
eneloop-R(再掲) | bp2500 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後 | 拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
残電流量比較:
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残電流量比較:
(*)明らかに、ダメ電池と思われるslot3を除いた平均。 |
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j維持電圧については、差は歴然ですね。bp2500のほうは、4週間放置した時点では、一部のデジカメでは、殆ど使えないかも、という状態になっています。
残電流量も、eneloop-Rが90%以上の数値を維持していますが、bp2500のほうは、70%程度、となってしまっています。
これも、eneloopも含め、残電流量について、グラフにしてみました。(前のグラフとは、縦軸が変わっています)
鎖線の、急激に右下がりになっているのが、bp2500、 そうでない8本が重なってるのが、eneloop-Rと、旧eneloopです。 ま、見ての通りかと。 |
1年間放置後のeneloopを3回続けてリフレッシュしてみました。
いや、素晴らしい、と思いませんか?
1回のリフレッシュで、ほぼ回復!
これなら、リフレッシュは一年に一回とか、使う前(デジカメでは旅行に行く前等)で十分かと思います。
やはり、eneloopはすごいです。
8本1575円で買えるなら、他の電池を買う意味があまりないような気がします。
なお、今回のテストでは、旧eneloopと、eneloop-Rの違いは、あるような、ないような、微妙な結果となっています。多少eneloop-Rのほうが性能がいいように見えるけど、、、これは、なんともいえません。
いずれにせよ、Better Power Batteryの電池と比べた場合には、、
維持電圧が素晴らしい
バラつきのなさが素晴らしい
自己放電が少ない
放置した場合の不活性化も少ない
ということかと思います。