新型eneloop HR-3UTGBの評価

2011年3月24日、3ヶ月放置後放電グラフ追加
2011年12月30日、4週間放置後放電グラフ追加
20011年11月19日、初期公開

新々型eneloop HR-3UTGBの発売です。

eneloop(HR-3UTG)の誕生日が、2005年11月14日HR-3UTGAの誕生日が、2009年11月14日です
今回は、2011年11月14日の発売です。
なので、丁度満4歳で、前回のリニューアル、丁度満6歳で、今回のリニューアルです。
11月14日に、なにか、思い入れがあるのでしょうか。



改善点は
  繰り返し、1800回(前回は1500回)使える。
  5年放置後70%の明記。
  1年放置後90%と改善(前回は85%)、3年放置後80%と改善(前回は75%)
ということに、一応なっています。

ちなみに、前回新型のHR-3UTGAでも、私の実験結果では、一年放置後86.7%です。単に部屋で保管していたので、20℃の条件だと、前から、1年放置後は、90%ぐらいのポテンシャルはあったはずです。

なお、上記でリンクしたページを、細部まで読むと書いてある、放置容量の測定方法ですが、
前回のHR-3TUGAの場合は、

満充電後、室温下での3年後において、初期容量の75%放電可能(単3形:放電電流740mA、放電終止電圧1.0V/セル)

なのに、今回の条件は、

満充電後、室温(20℃)での放置における当社評価による(放電電流0.2It、放電終止電圧1.0V/セル)

ということで、室温が、一定になっっちゃってることを今回から明記しています。(放電電流は、eneloopの場合、放電末期にストンと落ちる、素晴らしい特性なので、あまり関係ありません。)

つまりは、これまでは、控えめに宣伝していたのに、買収した企業の方針に従っちゃった、なんてことはないでしょうか。
でも、放置実験は5年前からやってるはず。放置実験のために、20℃の恒温ルームを、買ってもらったのが、丁度eneloopがヒットした5年前、と、いうのが、正解かな(笑)。

で、本当に性能は向上したのか?
  以上書いたとおり、向上してるわけじゃなく、社内の実験環境がよくなっただけ、なのか
  それとも、5年前から、いろいろな配合のeneloopを実験して、今回、そのなかの、最も成績がよかったものを製品化したのか、
わかるのは3年後ですね。(ただし、私の部屋の温度からいって、これが、わかるかは微妙。)

さて、実験結果です。


0.はじめに

充電、放電方法

自作の、パソコン制御ニッケル水素電池充放電器で、充電放電をしています。
 1.放電条件: おおよそ500mAの、おおよそ定電流放電
           1Vを下回ると、放電を停止しています。
 2.充電条件: おおよそ2400mAの、まあまあ正確な定電流放電、1秒充電3秒休止の繰り返し
           −ΔV検出よりちょっと前に充電は寸止め。(寸止め充電と充電効率の評価参照)
           (記事中に強制充電と書いた場合は、満充電のチェックはしていません。)
おおよそ、っていうのが、どれぐらいおおよそなのかは、話が複雑なので、
  1.定電流充放電特性と充放電電流測定値
をご覧ください。
充電、放電の間は、すべて、30分間の休憩をはさんでいます。

グラフの見方

slot1電圧  slot2電圧  slot3電圧  slot4電圧 
slot1温度  slot2温度  slot3温度  slot4温度 
slot1電流  slot2電流  slot3電流  slot4電流 

つまり、同系統の色は同じスロット。明るいのが電圧、暗いのが温度と充放電電流です。 あと、測定はすべて1秒置きにプロットしており、例えば、1秒/4秒というのは、 1秒充電して、3秒休止、という意味です。なので、充電中の電圧を1回と休止中の電圧3回がグラフに表示されており、充電グラフの休止中のほうは、線が太く見えます。(拡大すれば、3本の線が見えます。)

1.放電特性

今回も、開封後、3回の充放電結果の報告は省略します。(いつもと同じ傾向)

で、3回目の放電、つまり安定してきたところの放電グラフを、前回のHR-3TUGAと比較してみましょう。
左側の、eneloop-newbが、今回発売のもの。右側の、eneloop-newが前回(2年前)発売のものです。

ほとんど同じですが、若干の違いがあります。
1.放電容量が若干増えています。
2.電池のバラツキが少なくなっています。
これらについては、後で議論します。

2.容量

いつものごとく、寸止め充電後460mAhを追加強制充電した後の放電グラフを載せます。

460mAh追加充電したときの容量が、平均は、
  eneloop-Rが平均1890mAh
  eneloop-rgreyは1938mAh
  前回新eneloopは、1919mAh
でしたが、今回は、1929mAh です。
(ちなみに、これらの測定値の見方は、こちらを参照)

個体差を越えていない、と見るか、いや、前回より、ちょっと増えた、とみるかは、微妙なところです。個体差については、容量のバラツキでも、書きます。

3.容量のバラツキ


今回測定した容量(寸止め充電での容量)を、回路間偏差を取り除いて、過去に実験したいろんな電池で、比較してみましょう。

電池0容量
(mAh)
電池1容量
(mAh)
電池2容量
(mAh)
電池3容量
(mAh)
最大と最小の容量差
(mAh)
eneloop-R テスト1 1828 1825 1824 1830 5.4
テスト2 1825 1824 1821 1826 4.4
テスト3 1823 1822 1819 1823 4.0
eneloop-R 3回の平均 1825 1824 1822 1826 4.6
evolta 1913 1893 1896 1879 33.7
eneloop-Rgrey 1826 1849 1858 1847 31.5
前回新eneloop(HR-3UTGA) 1850 1833 1818 1817 32.7
今回新eneloop(HR-3UTGB) 1847 1854 1862 1840 22.0

最近のeneloopは、バラツキが大きくなってきたと思っていたのですが、今回は、バラツキがかなり減っています。
これを、単に4本のサンプルで、見るな!という意見はごもっともです。

ただ、私にとっては、手元にある、自分の電池がすべてです(笑)。なので、バラツキは減っている、いい傾向にあるかと、思い込むことにします。

4.自己放電特性

HR-3UTGB (今回発売の新エネループ) HR-3UTGA (2年前発売の前回新エネループ)
拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後 3ヶ月放置後  拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後  1年放置後
残電流量比較:
slot0 slot1 slot2 slot3 平均
放置前(mAh) 1851 1846 1864 1841 1850.6
1週間(mAh)
    割合
1762
95.2%
1756
95.1%
1776
95.3%
1756
95.4%
1762.6
95.2%
4週間(mAh)
    割合
1734
93.7%
1728
93.6%
1747
93.7%
1729
93.9%
1734.4
93.7%
3ヶ月(mAh)
    割合
1695
91.6%
1687
91.4%
1706
91.5%
1688
91.7%
1683.9
91.5%
1年(mAh)
    割合
残電流量比較:
slot0 slot1 slot2 slot3 平均
放置前(mAh) 1854 1826 1830 1818 1829.4
1週間(mAh)
    割合
1784
96.2%
1755
96.1%
1751
96.2%
1751
96.3%
1760.2
96.2%
4週間(mAh)
    割合
1748
94.3%
1718
94.1%
1714
94.2%
1716
94.4%
1724.0
94.2%
3ヶ月(mAh)
    割合
1年(mAh)
    割合
1608
86.7%
1582
86.6%
1578
86.2%
1580
86.9%
1587
86.7%


次回の1年放置実験の放電開始日時は、2013年3月23日9時39分06秒からの予定。