新型eneloopの評価

2009年11月16日、速報版
2009年11月19日、容量測定値追加
2009年12月23日、自己放電テスト結果追加
2011年7月24日、自己放電テスト(1年後)結果追加

やはり、買ってしまいました。新型eneloop で、型番も変更になって、HR-3TUGA !
2009年11月14日の土曜日、わざわざ、錦糸町のヨドバシまで行って。

eneloop(HR-3TUG)の誕生日が、2005年11月14日ですから、丁度満4歳のこの日に、リニューアルです。



今回のリニューアルのポイントは、ユーザーから見たときには、
  繰り返し、1500回使える。
  3年放置後の残容量の明記(75%)。
  (以前から、1年後85%、2年後80%というのは言ってました。)
というところですね。

ところで、サンヨーのサイトにも書いてある、前が1000回だったのが1500回使えるようになったので、1回あたりのコストは、4円から、2.5円になった!
なんてのは、誇大広告だとおもうんですがねえ。

実際問題、ニッケル水素電池を、JIS-C8708の放電回数測定の方法で使う人なんていません。
そもそも、室温を、20℃にちゃんとあわせて、48回を60%程度の容量を使って、2回リフレッシュして、、、と他にもいろいろ。
まあ、無理でしょう。

実際には、1500回どころか、100回使う前に、5年〜10年?程度経過して寿命、、、なんて人のほうが、ほとんどではないでしょうか。

とまあ、話はそれましたが、1500回繰り返して使えることは実験は、しません。というか、無理というか。
3年放置後の残容量の測定は、、、、やろうと思いますが、結果は5年後に(笑)


パッケージ面で、大きく変わったことがあります。
わかりますよね。新型eneloopは、ケースのプラスチックが青いです。

さて、所有のeneloopを、撮影。

上の右が、初期型。上の左が通称eneloop-R、下が今回の新型eneloopです。
(新型の前に、eneloop-Rgreyというものが発売されていますが、これは所有していません。こちらをどうぞ。)

ちなみに、写真から、分かるでしょうか。固体の区別のために印をマジックでつけてるのですが、新型eneloopの表面は、油性のマジックを、はじきます。どうでもいいですかあ?


0.はじめに

充電、放電方法

自作の、パソコン制御ニッケル水素電池充放電器で、充電放電をしています。
 1.放電条件: おおよそ500mAの、おおよそ定電流放電
           1Vを下回ると、放電を停止しています。
 2.充電条件: おおよそ2400mAの、まあまあ正確な定電流放電、1秒充電3秒休止の繰り返し
           −ΔV検出よりちょっと前に充電は寸止め。(寸止め充電と充電効率の評価参照)
           (記事中に強制充電と書いた場合は、満充電のチェックはしていません。)
おおよそ、っていうのが、どれぐらいおおよそなのかは、話が複雑なので、
  1.定電流充放電特性と充放電電流測定値
をご覧ください。
充電、放電の間は、すべて、30分間の休憩をはさんでいます。

グラフの見方

slot1電圧  slot2電圧  slot3電圧  slot4電圧 
slot1温度  slot2温度  slot3温度  slot4温度 
slot1電流  slot2電流  slot3電流  slot4電流 

つまり、同系統の色は同じスロット。明るいのが電圧、暗いのが温度と充放電電流です。 あと、測定はすべて1秒置きにプロットしており、例えば、1秒/4秒というのは、 1秒充電して、3秒休止、という意味です。なので、充電中の電圧を1回と休止中の電圧3回がグラフに表示されており、充電グラフの休止中のほうは、線が太く見えます。(拡大すれば、3本の線が見えます。)

1.放電特性

今回は、開封後、3回の充放電結果の報告は省略します。(いつもと同じ傾向)

で、3回目の放電、つまり安定してきたところの放電グラフをいきなり。

んんん!
私がこれまでテストしたeneloopの中でも最も電池間のバラツキが大きく見えますね。これは、後の議論にしましょう。
で、1.2V維持時間が長く、最後にストンと落ちる傾向は、相変わらずですが、eneloop-Rgreyより、もとに戻り、eneloop-Rに近くなったような気がします。
(eneloop-Rgreyでは、この傾向が若干和らいだ傾向にありました。)
はっきり示すために、eneloop-R、eneloop-Rgrey、新型eneloopのパラパラ漫画。


ストンと落ちる傾向は、
eneloop-Rgrey < eneloop-new < eneloop-R
なんだけど、、、もとに戻った?

いや、単なるロット差の域を出ない、、、というのが、今となっての結論のような気がしてきた。たいしたことはない。

2.容量と、充電効率

通常の寸止め充電後の放電(3回目放電)、
寸止め充電後200mAhを追加充電した後の放電、
寸止め充電後460mAhを追加充電した後の放電、

の3つのぱらぱら漫画です。

で、eneloop-Rや、eneloop-Rgreyとならべてみたっと。

460mAh追加充電したときの容量が、平均、
  eneloop-Rが平均1890mAh
  eneloop-rgreyは1938mAh
  新eneloopは、1919mAh
(ちなみに、この測定値の見方は、こちらを参照)
となっています。つまり、 eneloop-Rより、多いが、eneloop-rgreyより少ない、っと。
そういえば、電池本体の表示に、min1900mAh, typical:2000mAhと、表示があったのが、新eneloopでは、min:1900mAhの表示だけに変わっています。なにか関係有りそうだなあ。
ストンと落ちる落ち方の変化とも関係がありそう。
  eneloop-R → かなりストンと落ちる。容量少な目
  eneloop-Rgrey → まあまあストンと落ちる。容量は大目
ということから、eneloop-R時代のレシピに近づいたとか、でも、いろいろ改良されて容量はちょっと増えた、、、ってのは、勝手な想像です。

なお充電効率は、ほぼ同じで、80%ということ。これは、ニッケル水素電池は、みんな同じ、ということかな?
#ちなみに、新eneloopとeneloop-Rgreyがeneloopよりわずかにいいのですが、(新eneloopは82.7%、eneloop-Rは81.8%)これは、温度等の実験条件の差です。)

3.容量のバラツキ

私が所有しているeneloopの中で、今回のは最もバラツキが大きいです。
なお、今回測定した容量(寸止め充電での容量)を、回路間偏差を取り除いて、いろんな電池で、比較してみましょう。

電池0容量
(mAh)
電池1容量
(mAh)
電池2容量
(mAh)
電池3容量
(mAh)
最大と最小の容量差
(mAh)
eneloop-R テスト1 1828 1825 1824 1830 5.4
テスト2 1825 1824 1821 1826 4.4
テスト3 1823 1822 1819 1823 4.0
eneloop-R 3回の平均 1825 1824 1822 1826 4.6
evolta 1913 1893 1896 1879 33.7
eneloop-Rgrey 1826 1849 1858 1847 31.5
新eneloop 1850 1833 1818 1817 32.7

うううーん、eneloop-Rgreyと共に、evoltaのバラツキと同じぐらいになっちゃってますね。
  eneloopがバラツキが少ない、というのは、
      eneloop-R時代の話だったのか。
      私の持ってるeneloop-Rは、当たりだったのか。
      今回の新eneloopがはずれなのか。初期ロットの宿命なのか
もっとデータを集めてみないとわかりませんね。

4.自己放電特性

eneloop-Rと比較してみました。

eneloop-new eneloop-R
拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後  1年放置後 拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後 3ヶ月放置後 1年放置後
残電流量比較:
slot0 slot1 slot2 slot3 平均
放置前(mAh) 1854 1826 1830 1818 1829.4
1週間(mAh)
    割合
1784
96.2%
1755
96.1%
1751
96.2%
1751
96.3%
1760.2
96.2%
4週間(mAh)
    割合
1748
94.3%
1718
94.1%
1714
94.2%
1716
94.4%
1724.0
94.2%
3ヶ月(mAh)
    割合
1年(mAh)
    割合
1608
86.7%
1582
86.6%
1578
86.2%
1580
86.9%
1587
86.7%

残電流量比較:
slot0 slot1 slot2 slot3 平均
放置前(mAh) 1836 1822 1832 1832 1830.5
1週間(mAh)
    割合
1710
93.1%
1700
93.3%
1716
93.7%
1720
93.9%
1711.5
93.5%
4週間(mAh)
    割合
1666
90.7%
1666
91.4%
1687
92.1%
1687
92.1%
1676.5
91.6%
3ヶ月(mAh)
    割合
1665
90.7%
1653
90.7%
1675
91.4%
1674
91.4%
1666.8
91.1%
1年(mAh)
    割合
1581
86.1%
1567
86.0%
1586
86.6%
1587
86.6%
1580.3
86.3%

1年後放置後の容量(%)は、eneloop-Rと変わりませんね。自己放電性能は健在です。

なお、1週間、4週間放置後は、eneloop-Rと比べて性能がアップしたように見えますが、これは、放置した期間の温度の影響かと思われます。