充電式evoltaを購入しました(目的は実験だという疑惑あり(笑)eneloopとも比較するよーん。)

2008年10月5日: 初期作成
2008年10月8日: 初期放電実験のslot2が、実験失敗の疑いが濃厚である点を、緊急修正
2008年10月9日: バラツキについてのレポート予告追加。改定履歴(緊急修正の点)修正
2008年10月13日: 1週間放置後の放電実験結果追加
2008年10月19日: 電池の容量のバラツキ、追加
2008年10月22日: 初期放電実験のslot2の実験失敗の理由を追加
2008年11月16日: 4週間放置後の放電実験結果追加
2009年2月21日: 3ヶ月放置後の放電実験結果追加
2009年11月19日: バラツキについての見解を修正
2010年2月21日: 1年放置後の放電実験結果追加
2011年9月2日: 経年劣化の検証追加
2011年12月3日: 経年劣化、3ヶ月放置後のグラフ追加

つい数年前までは、ニッケル水素充電地は、容量競争にしのぎをけずっていたわけですが、eneloopの出現により、ニッケル水素充電池の方向性は、
  自己放電がすくないので放置しても大丈夫。
  買ってすぐ使える。(充電済みということ。)
ということになっています。panasonicや、sony、その他のメーカーからも、同様な製品が発売され、最近は、海外製の電池も、これに追随した電池が発売されています。

で、panasonicからも同様の電池が出ていたのですが、その改良版(?)が、今回evoltaの名前をしょって、発売です。

evoltaと言えば、オキシライド電池の後継で、乾電池を2本しょって、グランドキャニオンを登ってしまう、という宣伝で一般の方も知ってる、1次電池(つまり使い捨て電池)の、リーダーであり、evoltaというブランドは、パナソニックにとっては、非常に重要なブランドなはずです。
で、充電式電池に、このブランドをかぶせることは、panasonicさんは、この電池に、(技術面、販売面共に)かなり本気で取り組んでいる、というということではないでしょうか。

同じevoltaというブランドで、使い捨て電池と、充電式電池を混在させることにより、販売戦略も簡単ではなくなってしまうことや、消費者が混乱してしまう等、マイナス面を補って余りある、という判断をしているわけですから、なおさら、本気、という気がします。

ということで、4本1580円、ポイント10%で、買っちゃいました。実際問題、これで、使用していない電池が、12本に増えるわけですね。バカじゃないの、俺(笑)。しかも、eneloopは秋葉原行けば、8本で1575円で売ってる、というのに。
といいつつ、ニッケル水素電池の所有本数だけで言えば、もっと、マニアな人は大勢いらっしゃるとおもうので、まあ。よしとしましょう。(なんのこっちゃ。)

さて、パッケージの裏面のセールスポイントを見てみましょう。
JIS C8708の試験条件で1200回とあります。eneloopが1000回ですから、それなりに、技術的な裏づけ(製造工程の管理も含めた)があるのでしょう。
パナソニックのサイトでも、このあたりは、セールスポイントにしています。

1年後でもすぐ使えることや、つぎ足し充電OKというのは、eneloopと同じ売り文句ですね。リフレッシュ放電等が必要がないようにも受け取れます。この点もenelopと同じ。
一方、「買ってすぐ使える。」の売り文句がありません。従来のニッケル水素電池と同じく、品質を保持するためだけの最低限の充電のみされているのでしょうか。
(解説:ニッケル水素電池は、自己放電が、機種にもよりますが、少なからずあり、しかも、空の状態で保存すると急激に劣化することから、どの電池も最低限の容量は、充電してあります。eneloop等は買ってすぐ使える、という売り文句があり、ほぼ満充電にしてから出荷されています。)
フル充電して、1年後でもすぐ使える、、、の売り文句があるのに、買ってすぐ使える、という売り文句がない、ということは、フル充電では出荷されていない、と推測されますが、、、果たしてどうでしょう。

裏面の使用法を見てみると、
2行目の説明、「初回使用時には、充電してから使用。」とあります。
やはり、フル充電では出荷されてはいない、ということなのでしょうか。

面白いのは、3行目の説明。
「長期間使用しなかった場合は、2−3回充放電をくり返してください。」
あれ?さっき、「フル充電して1年後でもすぐ使える。」って言ってたジャン。
それとも1年以上のことを、長期間、と表現しているのかな。11ヶ月は長期間ではない、と???
あと、これ、です。ちなみに、eneloopは、日本製です。

ま、中国の自社工場で、しっかりと、品質管理ができていれば、特に問題はないとおもうんですけど、、、

なお、パッケージ面で、eneloopと決定的に違う点があります。
 製造年月がパッケージに書いてない。
って、ホント?
ちなみに、eneloopは、見にくいですが、書いてあります。

最初、これって駄目じゃーん、と思いました。
でも、まあ、法律で規制されているわけじゃないし、経年劣化が少ないということなのであれば、これでいいのかと。
話は変わりますが、例えば、スーパーの牛乳買うときに、2種類の日付が並んでいると、古いほうが売れなくなる、という現象からして、環境面を考えると、製造年月を書かないほうが地球にやさしい、ということかも、、、

いや、ちょっと待てよ。

eneloopが製造年月を記述してあるのに、evoltaが記述してないとなると、みんな、eneloop選ぶんじゃないの?
業界全体で取り組まないと、駄目な気がします。

あ、これに関連して、私の買った、ヨドバシカメラでは、eneloopはパッケージを選んでレジに持っていくのに、その横にある充電式evoltaは、カードをレジにもっていって、レジで、電池を出してもらう、という販売形態でした。これなら、製造年月書いてあっても書いてなくても、無理ジャーん。

あと、流通の事情とかもあるかもしれませんね。
以下、あくまで想像の話。
  松下  :「おたくの店に、この電池を置いてくれませんか?」
  量販店 :「売れ残ったら返品できますか?」
  松下  :「いえ。買い取りで、返品できないことになってます。」
  量販店 :「じゃ、eneloopと同じ条件じゃん。うちじゃeneloop売れてるからいらないよ。」
  松下  :「いえ。そんなことありません。
        evoltaは製造年月がパッケージからわからないようになってますので、売れ残っても大丈夫ですよ。」
  量販店:「おーそれは感動した。eneloopは、書いてあるから、困ってたんだよね。店に置く事にしましょう。」
てな、変な力学が働いてるんでしょうねー。

さて、前置きが非常に長くなりました。いよいよ、実験結果の発表!

目次:
  0.はじめに
  1.購入直後の状態(買ってすぐ使える?)
  2.放電特性
  3.充電特性
  4.容量と充電効率
  5.電池の容量のバラツキ
  6.自己放電特性(comming soon だよ)
  7.まとめ


0.はじめに

充電、放電方法

自作の、パソコン制御ニッケル水素電池充放電器で、充電放電をしています。
 1.放電条件: おおよそ500mAの、おおよそ定電流放電
           1Vを下回ると、放電を停止しています。
 2.充電条件: おおよそ2400mAの、まあまあ正確な定電流放電、1秒充電3秒休止の繰り返し
           −ΔV検出よりちょっと前に充電は寸止め。(寸止め充電と充電効率の評価参照)
           (記事中に強制充電と書いた場合は、満充電のチェックはしていません。)
おおよそ、っていうのが、どれぐらいおおよそなのかは、話が複雑なので、
  1.定電流充放電特性と充放電電流測定値
をご覧ください。
グラフの見方
slot1電圧  slot2電圧  slot3電圧  slot4電圧 
slot1温度  slot2温度  slot3温度  slot4温度 
slot1電流  slot2電流  slot3電流  slot4電流 

つまり、同系統の色は同じスロット。明るいのが電圧、暗いのが温度と充放電電流です。 あと、測定はすべて1秒置きにプロットしており、例えば、1秒/4秒というのは、 1秒充電して、3秒休止、という意味です。なので、充電中の電圧を1回と休止中の電圧3回がグラフに表示されており、充電グラフの休止中のほうは、線が太く見えます。(拡大すれば、3本の線が見えます。)


1.購入直後の状態(買ってすぐ使える?)

実験の条件:
   1.開封直後から、「放電→30分休憩→充電→30分休憩」 を3回繰り返しています。

1.1.放電グラフ

開封直後から3回の放電をパラパラ漫画してみました。
さらに、eneloopの同じ実験のグラフ(右側)をのせますので、比較してもらえばと。

停止画像拡大:開封初回放電2回目放電 3回目放電 停止画像拡大:開封初回放電2回目放電 3回目放電

1番目に付くのは、開封直後の維持電圧が2回目の維持電圧よりかなり低いことでしょうか。また、2回目、3回目を比べても、evoltaのほうはまだ、回復が収束していないです。一方eneloopのほうは、1回目2回目の差は若干ありますが、2回目、3回目の差がほとんどありません。



次に目に付くのは、緑系の色で示された、slot2の電池の初回の容量が少ないことです。製造の最後の工程であろう、充電の工程の品質にバラツキがあるようです。まあ、問題あり、とはいえないばらつきかもしれません。それとも緑の電池がハズレ電池である可能性(自己放電したということ)もありますが、そうでなく充電工程の品質のバラツキに個人的には期待したいところです。
→これ、実験の失敗の疑いが濃厚であることが判明!詳しくは、、、
    FreeBSDの、カーネルを、思いついたら、CVSUPでアップデートしてるんですが、、
    ブート直後の、プリンターポートの4番ピンの状態が、いつのまにか、変わっちゃってた、てことです。
    放電用のスロット2だけONになるような感じになってた。具体的には、こんなプログラムで、
       ioctl( fd, PPIGDATA, &dt );
       printf( "%x\n", dt );
    いつの間にか、00が表示されてたのが、04が表示されるようになったということです。
    制御用のパソコンを立ち上げて、電池を入れて、、、、とかやってる間に、放電がはじまっちゃうようになっちゃったた、ということ。
  ちなみに、ほかの記述は問題ないです。実験の失敗の可能性濃厚なのは、slot2で示される、初回の容量が少ないといことだけです。


あと、買ってすぐ使える、というセールスポイントがパッケージに書いてないことは述べましたが、実際のところは、
  1.開封後でも、1600mAhを超えて放電できています。(slot2除く)
  2.開封直後は維持電圧が低いです
ということで、製造の最終工程で充電はされているようですが、不活性化も進んでいるようです。

なお、電池表面の刻印に、0808とあるので、製造後1−2ヶ月経過しています。したがって、30日〜60日間の自然放電ということなのでしょうか。電圧が低いのも、その1〜2ヶ月間の、不活性化ということなのでしょうか。(ちなみにeneloopのほうは製造後、40日〜70日程度です。)
ま、「買ってすぐ使える。」とは書いてないので、これはまあ、いいのかもしれませんが、もしこれが、満充電して出荷したものなのであれば、容量の低下や、不活性化は、これで止まってくれないと悲しいです。

「フル充電したら1年経ってもすぐ使える。」のセールスポイントは微妙ですが、これも実際1年放置してみなければ、なんともいえません。(悪い結論であれば、3ヶ月放置すれば出る可能性はありますが、、、)
この程度の不活性化で納まることを、期待しましょう。

1.2.充電グラフ

開封後の3回の充電グラフも一応載せておきます。また、同等のeneloopの結果も右にのせます。
ただし、、、実験の失敗があり、、、

停止画像拡大:開封初回充電2回目充電 3回目充電 停止画像拡大:開封初回充電2回目充電 3回目充電

赤で示されるslot0の電池の充電中電圧が高くなっています。黄色も少し高めです。これは、電池の内部抵抗が高い、、、ということで、
最初は、ハズレ電池か、、、と思いましたが、電池ボックスをグリグリすると直りました(緑と青に近づいた。)。つまり、内部抵抗ではなく接触抵抗、ということ。

自分の所有している他の電池より、若干全長が短いようで、電池ボックスにいれると、ちょっと、スカスカしていたのですが、これがそんな形にあらわれてしまいました。

で、以上の理由で、緑と青で示される、slot2とslot3の曲線だけ見てもらえればと。

evoltaのほうは、まだあまり充電されていないあたりの容量(500mAh〜1500mAhあたり)で、休憩中電圧(つまり起電力)が、2回目、3回目で徐々に上がっていっているのがわかります。一方eneloopは3回とも差がありません。
これも、放電グラフ同様、不活性化が大きいか、その回復が鈍いということかと思います。

なお、繰り返しますが、この実験だけで直ちに、evoltaがeneloopに劣るということではありません。3ヶ月、6ヶ月、半年、と放置して、真価が問われることになると思います。また、おそらく今回のevoltaは、初回ロットに近い状態ですので、これも、既に枯れているeneloopと比べるのは可愛そうです。
あと、可能性としては、初回ロットであることもあり、以下のような仮説も。
eneloopの場合は、既にヒットした後なので、本当の製造から、あまり時間が経過していない。
evoltaの場合は、小さい製造ラインで、電池を作っていて、初回充電も済ませて、長い時間が経過してしまった後、最後に電池をパッケージする時点で日付を刻印した。
ま、どうかわかりませんけどね、、、


2.放電特性

最初の3回の充放電は、接触抵抗が大きい状態で行ってしまったので(実は充電が影響が大きく、放電はそれほどでもないのですが。)、放電特性は、その後で採取したデータでのグラフを採用して、eneloopと比較したいと思います。

具体的には、電池ケースのバネを、グイと曲げて圧着の力を強くし、しかも、電池の端子と電池ケースをアルコールで拭きました。

なお、eneloopでの放電実験をしたときとは、微妙に条件が異なりますが、充電後30分からの放電という点は同じであり、比較に使用したグラフは、比較に使用するのに適切なものを厳選しているつもりではあります。(例えば放電実験では温度にはそれほどシビアではないが、放電前の使用状況が近いものを選ぶが、充電は、回路の特性上温度に影響を受ける(特に30度あたりから変わる)が、直近の使用状況にはそれほど影響しないので、温度を優先して選ぶ等です。)
厳密には、充放電日記生中継のすべてのグラフを参照してもらえれば、わかるのですが、、、


と前置きが長くなりましたが、eneloopとの放電特性の比較です。

さて、どう思われたでしょうか。ほとんど同じ、と言ってもいいかも知れませんが、若干の差があります。
全体的言うなら、eneloopのほうは、電圧がなかなか落ちずに、ストンと最後に落ちますが、evoltaは、徐々に落ちています。
定量的に言うと、
 1.500mAhぐらいまでは、両者にあまり差はない。(ほんのわずかにeneloopが電圧が高い、、、ですが。)
 2.800mAh以降、evoltaのほうは、電圧の下がりかたが大きい。
   (ただしあくまでeneloopと比較しての話で、他の旧型電池よりは、ストンと落ちます。)
 3.evoltaのほうが、最終的な容量は大きい。
   表示上も、eneloopは、min1900ですが、evoltaは、min2000ですので。
   (この件は、「4.容量と充電効率」で詳しく述べます。)
 4.2、3と同じことを繰り返しになるが、
   1.2V維持容量は、eneloopの勝ち
   1.1V維持容量は、evoltaの勝ち(もちろん、1.0V維持容量も)
となります。

なお、電池間のばらつきの少なさは、わずかにeneloopの勝ちのように見えます。この件は後で説明します。


3.充電特性

諸条件についての補足事項は、「2.放電特性」を参照してもらうのと、
温度、充電条件の諸条件をあわせることを優先してグラフを選択したがために、eneloopのグラフの、充電電流測定値が、若干ギザギザしていますが、これは、無視してもらうのがいいかと思います。実際に、他のグラフではギザギザしていません。

さて、比較してみましょう。

最も目につくのは、充電末期の、起電力の上昇がeneloopのほうが、激しいことです。
これは、もはや、eneloopの特徴、と言っていいのではないでしょうか。

(eneloopの場合、この特性のおかげで、表示上の使用回数を伸ばしている可能性もあると思います。ただ、この点も話が複雑になりますのですが、あえて書くと、JIS C8708では充電停止制御方法は、メーカーの推奨する方法を使うことができる、ということです。この特性だと、電池にやさしい正確な停止制御ができる可能性があるように思います。)

それ以外は、ほとんど同じと言っていいでしょう。
電池の内部抵抗(充電時電圧と、休止時電圧の差)も、ほとんど変わりません。

電池間のバラツキに関しては、これも、わずかですがevoltaのほうが、大きいような気がします。これは詳しくは後述します。


4.容量と充電効率

充電容量ごとに、放電容量を測定してみました。
パソコン制御ニッケル水素充電器では、既に述べたとおり、寸止め充電をしているわけですが、その寸止め充電の状態から、200mAh 460mAhを強制的に充電してみて、どこまで容量が伸びるかを測定しています。この実験の、詳しい内容は、寸止め充電と、充電効率の評価
をご覧ください。

やはり、eneloopよりevoltaが多く充電できており、460mAh追加充電した場合の測定値で、
  eneloopが平均1890mAhなのに対し、
  evoltaは1974mAhと、
84mAh多く充電できています。

これは、表示上の、eneloop min1900mAhと、evoltaのmin2000mAhとよく合っています。
(測定値が、表示上のminまで伸びないのは、本充電器での測定値等の誤差の範囲です。詳しくは、先ほどのリンクをごらんください。相対的な測定値としては正確だと思います。むしろ測定時の温度差が問題ですが、これも、結果に大差はないと思います。)

また、充電効率も、満充電検出時では、同じ80%ということですね。グラフも同じような曲線になっており、容量以外の差は認められません。


5.電池の容量のバラツキ

充電池を4本直列とかで使うとき、電池間の容量のバラツキがないことは、重要な特性です。
特に重要な使い方というのは、放電終止電圧が設定されていないような機器(例えば懐中電灯)を使うときで、容量にバラツキのある電池を使うと、容量の少ない電池は、放電末期に転極を起こすからです。

で、通常に、寸止め充電をした後の放電結果をeneloopと比較したこれ。

eneloopとの違いは明らかですね。で、グラフ上から見ると、容量差は、2倍程度と見えます。

ただ、このグラフ、回路間の偏差も含まれています。回路間の偏差を取り除いた形で表にまとめてみましょう。
(本数値の算出に関しての詳しくは、パソコン制御ニッケル水素充電器の、容量測定値のslotによる偏差の測定(付:eneloop、evoltaの電池ごとのバラツキの評価),を参照してください。)

放電容量の比較

電池0容量
(mAh)
電池1容量
(mAh)
電池2容量
(mAh)
電池3容量
(mAh)
最大と最小の容量差
(mAh)
eneloop テスト1 1828 1825 1824 1830 5.4
テスト2 1825 1824 1821 1826 4.4
テスト3 1823 1822 1819 1823 4.0
eneloop平均 1825 1824 1822 1826 4.6
evolta 1913 1893 1896 1879 33.7

どうでしょうか。eneloopでは、3回のテスト、evoltaでは1回のテストですが、その差は33.7mAhと4.6mAhの29mAh差。
比率で言うなら、7.3倍あります。

電池間の容量のバラツキに関しては、eneloopが遥かに少ないようです。
ま、従来型の電池に比べれば頑張ったかな、というところでしょうか。

****2009年11月19日追記***************

→以上、こう書きましたが、その後いろいろと実験してると、微妙な感じです。
   1:この記事に書いたことがその当時では、実際、正しかった。
   2:この時のeneloopが、稀に見る当たりで、バラツキがすくなかった。
   3:最近のeneloopは、evoltaと同じようにばらついている。
さて、真実は、1と2と3の間ぐらいにあるんでしょうが、、、、詳しくは、新eneloopの評価を参照


6.自己放電特性

満充電直後(厳密には、30分経過後)、
満充電1週間経過後、4週間後、3ヶ月後、1年後
での放電データです。

(なお、満充電と書いてますが、寸止め充電しているので、96%程度しか充電されていません。)

eneloopと比較してみました。

ちゃんと見たい人は、拡大画像をクリックしてください。

evolta eneloop-R
拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後 3ヶ月放置後 1年放置後 拡大画像:放置前 1週間放置後 4週間放置後 3ヶ月放置後 1年放置後
残電流量比較:
slot0 slot1 slot2 slot3 平均
放置前(mAh) 1917 1893 1896 1879 1896.25
1週間(mAh)
    割合
1724
89.9%
1704
90.0%
1707
90.0%
1697
90.3%
1711.5
90.1%
4週間(mAh)
    割合
1632
85.1%
1615
85.3%
1616
85.2%
1612
85.8%
1618.75
85.4%
3ヶ月(mAh)
    割合
1517
79.1%
1515
80.3%
1507
79.5%
1526
81.2%
1516.25
80.0%
1年(mAh)
    割合
783
40.8%
794
41.9%
762
40.2%
762
40.5%
775.25
40.9%
残電流量比較:
slot0 slot1 slot2 slot3 平均
放置前(mAh) 1822 1814 1827 1831 1823.5
1週間(mAh)
    割合
1720
94.4%
1703
93.9%
1716
93.9%
1719
93.9%
1714.5
94.0%
4週間(mAh)
    割合
1655
90.8%
1655
91.2%
1672
91.5%
1672
91.3%
1673.5
91.2%
3ヶ月(mAh)
    割合
1658
91.0%
1638
90.3%
1660
90.9%
1658
90.6%
1653.5
90.7%
1年(mAh)
    割合
1581
86.1%
1567
86.0%
1586
86.6%
1587
86.6%
1580.3
86.3%

1年間放置した時に残る容量が、eneloopは、86.3%なのに対し、evoltaは、40.9%となっています。
eneloopの場合は、広告の通りスペックが出ているのですが、evoltaは、ぜんぜん、性能がでていません。
evoltaのほうは、パッケージに書いてある、

というのに、ぜんぜん届いていない、ということになります。
まあ、1年放置の場合、夏を越しているので、20℃以下、という条件は守っていませんが、20℃以下でも、その性能は維持できなそうなのは、冬に3ヶ月放置した時に、既に80%になっている点です。(私の部屋の室温は、冬の場合、在宅時は、エアコンで20℃、外出時はエアコンを切るので17℃ぐらいまでは下がります。)
まあ、1年後の結果だけをevoltaにひいき目に見たとしても、「フル充電して1年後でも、すぐ使える。」というのは、まったく、現実とはかけ離れているように思います。
(特に、1年後は、1.2V維持容量はほぼ0だし。)

なお、既に述べたように、3ヶ月放置までは、双方、まあいい勝負をしているように見えますが、放置をした季節(1週間、4週間、3ヶ月)は、遥かにevoltaのほうが有利な条件ですので、これは、あてにはならないでしょう。
(グラフの温度と、日時見ていただければと。なお、同時期に放置したeneloopは、このテスト時より、いい成績をのこしていることは確認しています。これとか、これとか。)

自己放電特性では、eneloopのほうが優れているというのは、結論として間違いないようです。
ただ、
「このテストで、好成績を残せるような用途では、普通のアルカリ電池や、マンガン電池使ったほうが、経済的ですよ。」
ということは、言って置いたほうがいいかも知れません。
逆の言い方をすると、eneloopは、電池のこと知らない人にも、使えるぐらいまで、改良されている、といった感じかと思います。


7.経年劣化

3年使用のevoltaと、4年使用のeneloopを比べてみました。
放置前と言うのは充電直後の状態、で、その後の自己放電特性です。(同時期に放置したので、放置温度はほぼ同じです。)
使用状況は、ざっくり言うと、evoltaより、eneloopのほうが、1年古く、しかも酷使している状態で、evoltaのようが有利な条件にもかかわらず、、、

#充放電の履歴が、こちらにあります。正確にいうと、ほぼすべての充電履歴(eneloop-r2のほうが、旅先でも充電していたりします。)と、
#実験で行った放電履歴です。

充電直後の状態からして、evoltaは劣化していますね。で、自己放電も新品の状態より、かなり多くなっています。
3ヶ月放置後では、決定的に差は広がり、この状態では、使えない機器や、使えても、ほんのちょっとしか使えない機器があるでしょう。

ということで。結論は、明らかです。

#ちなみに、4週間放置後のevoltaのslot3(青)の電圧だけが低いのは、接触不良の可能性が大きいので、無視してください。
#ただし、接触不良の問題は、回路上、測定電圧には影響しますが、電流量の測定には、ほとんど影響はありません。
#また、テスト前にはアルコールで拭いてます。ただ、evoltaがテストによっては接触抵抗が大きくなってしまうのは、evolta自体の端子の材質の
#問題もあるやもしれません。一方eneloopのほうは、こういうテストの失敗は、まず発生しません。ただ、それは、eneloopが少し長いから、という
#可能性もありますし(充電器の電池ボックスも関係しています)、材質が優れている、という可能性もあります。
#ただ、すべての充放電の履歴を見れば、私がどちらを疑っているかは、、、これ以上は言うまい。


8.まとめ


充電式evoltaは、他のニッケル水素電池に比べれば、かなりな性能を示しています。
ただeneloopのほうが、さらによい性能を示していると思います。

以下は、eneloopの勝ちかと思います。
  1.1.2Vを維持できる容量、全体的に維持できる電圧
  2.買ってすぐ使えるという点
  3.電池固体ごとのバラツキ(特に容量)の少なさ
  4.現時点での、実勢価格
  5.自己放電特性
  6.経年劣化の少なさ

以下は、evoltaの辛勝です。
  1.1.1Vを維持できる容量(充電直後)。もちろん、1.0Vも。ただ、1週間経てば、逆転されますので、辛勝ということで。
以下が、evoltaの勝ちかもしれません。
  1.1000回とか1200回とか、充放電を繰り返した場合の劣化の少なさ。
    ただ、これは、検証するのは、ほぼ無理なので、、、、どうでしょうね。
    (2010年追記:eneloopは、新型になって、1500回をうたうようになりました。)
  2.電圧が下がってから、evoltaのほうが長く持ちます。電池の残量表示をあてにする人にとってはメリットかも。
    ただ、これは、結局、eneloopが1.2V維持容量で優位、ということの裏返しの側面であり、
    あくまで人によってはメリットかも、というだけでしかありません。

で、eneloopの勝ちかな、という感じです。


言っておきたいのは、実験に使ったevoltaは、非常に初期ロットに近い、ということです。技術的(生産管理も含めた技術)に枯れている状態で購入したeneloopと比べてしまうのは酷ということもあるでしょうね。